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千葉県館山市。目の前は海。なのに冬。
都内のとある大学の映画サークル。そこに集まる12人のスタッフとキャストが千葉の館山の民宿に篭りきりになって映画作りに励んでいた。
誰も寄り付かない季節に彼らは撮影合宿としてやってきた・・「若さ」の全てをぶつけようとした。 

合宿から28日目。 

「おはよう・・」と、民宿『あかつき』の食堂兼、フロント兼、ラウンジ。ゾロゾロと2階の各部屋から降りてくるメンバーたち。取り立てて会話もなく朝ごはんを食べ始める。
ここではキャスト・スタッフ含め雑魚寝状態で寝泊りして既1ヶ月が過ぎようとしていた。 

「ホン(脚本)は?」
「今日もダメみたい」
「だからシーン36まででもいいから撮ろうって言ったんだよ!」
「楠人さんが海岸のシーンは一連で撮らないとダメだって」
「ハハハ、もはや神だな」
「自主映画で金もらえるなんてラッキー」
「バイトするよりマシ。実際遊んでいるだけだし」
「俺ら映画撮りたいから映画サークル入ったのに・・最近よくわからん」 

「あいつ(楠人)狂ってるよ。来月の6日まで拘束させてくれ!って目血走って・・俺ら素人なんだけど」「金が出ないなら即帰京します。自分の企画撮りたいですし」
「楠人さんも・・もういい加減仕切り直したほうが・・(ガチャ)」 

2Fのドアが開く。
現れたのは4年生で監督の楠人だ。目からは一筋の涙。錯乱状態で震えている。 

「・・すべて・・・終わりにしたい」 

唖然とする一同。

 楠人はその日以来、一人籠って部屋から出てこなくなった。4年生で監督である楠人(21)は残り数日を残すところで、この映画の撮影を終わりにしたいと言い出した。
困惑するスタッフ・キャストたち。なぜなら、プロもアマチュアも各々企画を出しあってコンペの結果選ばれた楠人の作品に皆、不満や羨望、妥協に恋愛・・・
様々な思いを胸にこの合宿に参加していたのだ 

脚本に惚れこんだ1年生の孝太(18)
由良に借金をしていて仕方なく手伝っている2年生の悟(20)
就職が内定し卒業旅行気分で来ている4年生の和樹(22)
ノーギャラで参加した売れない女優・紗枝(28)。
そして、最後の最後まで企画で争って落ちてしまった由良(22)
楠人の「カノジョ」という理由だけでサークルに在籍する仁美(20)など。

 撮影も終盤、楠人への不満はにわかに広がりつつも、誰もがこの映画を撮りきる事を望んでいた。
自分たちの努力してきた日々を無駄にしないために。というよりむしろ「残り数日なんだからもったいないじゃん」という理由で。
しかし楠人は「撮り切ったとしても、この映画は間違いなく完成させない。だからここで終わりにしたい・・」と言い張る。
その日からメンバーは撮影を一時中断し、説得する者、遊ぶ者、恋する者、帰る者などに別れて各々の季節を過ごすことになる。 

その一見無駄に思える日々が、後の彼らの人生の中でどれだけ意味があるものになるのか、この時点で彼らは知る由もない。 

人には肌で感じない、心で感じる季節があるという。
 
ここで過ごした数日間はいったい春だったのか夏だったのか秋だったのか冬だったのか・・。
5年後、楠人はこの濃すぎる毎日の記憶を思い出すことすらためらった。
 

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